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そのとき、ズドンと耳を引き裂く爆音が突如として鳴り響き、地面が縦に大きく揺れ、凄まじい爆風が砂嵐となり建物を襲った。
「くそ、ガーランド空軍め・・・・」
サウルは吐き捨てると、
「何ボサッとしてる。地下壕へ急げ‼」
大声を張り上げ、爆風でくしゃりと折れ曲がった窓に駆け寄った。
「子供を狙うなど、お前ら同じ人間か」
さっきまで子供たちがはしゃいで水遊びしていたオアシスの真ん中には大きな穴が空き、煙がもうもうと立ちこめていた。
「ルチル‼ラマ‼・・・・・」
子供達の名前を叫びながらサウルは躊躇することなく二階から飛び降りた。
コロハーロら数人の幹部が銃を背負いサウルに続き飛び降りた。
人の私利私欲が、憎しみが哀しい戦争を引き起こす、
同じ民族同士、血族同士血で血を争う無益な醜い戦い。巻き込まれ犠牲になるのは何の罪もない女や子供、年寄りや障害者だ。
何故それが分からない。
「ハンヌいつかお前をぶっ殺してやる‼」
父の跡を継ぎガーランド空軍の元帥の座に就いたのはサウルより6才年上の母違いの兄のハンヌだった。
ハンヌはサウルを目の敵にし、権力を傘に執拗までに命を狙っていた。
「みんな生きててくれ‼」
サウルは煙に視界を阻まれながら血眼になって子供達とラーズヒヤとユキヤを探した。
いつ次の爆弾が降ってくるか分からないのだ。
もはや一刻の猶予もなかった。
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