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スターロに襲い掛かった理不尽ともいえる惨劇。丸一昼夜町も人も家畜も全てのものを焼き付くし、みる影もなく辺り一面焦土と化した。サウルらが駆け付けた時、彼らが見たのは、危険を顧みず瓦礫を掻き分け、夫らと手分けして生存者を探すマザーミオの姿だった。
性別が分からぬほどに炭化した遺体に静かに手を合わせ涙を流し、全身に大火傷をおいながらも生き残った子供たちに寄り添い励まし続けた。
その姿がコウダイと重なって見えた。
やはり親子・・・・マザーミオの息子である彼なら、この理不尽ともいえる世の中を変えられるかも知れない。
「コウダイ」
サウルがゆっくりと近付くと、
「ちょっとサウル‼」
目を吊り上げたルベーノがツカツカと小走りに寄ってきて、サウルの腕を掴み、頬っぺたをこれでもかと膨らませコウダイを睨み付けた。
「君がラーズヒヤなんでしょう。僕とサウルは恋人同士なの。気安く喋らないでくれるかな。馴れ馴れしくしないでくれるかな」
「おぃルベーノ」
いつも冷静沈着でちょっとやそっとの事では動じないサウルが珍しく動揺していた。
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