ガーランドの赤い月

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「講義がはじまるぞ」 長い腕が伸びてきて、手首をむんずと掴むと、教育学部のある3号館に向かって早歩きで歩き出した。 「ちょっと待って!お願いだから、もうちょいゆっくり歩いて」 3日前にハナサクラの子供達と遊んでいた時に足を捻ったコウダイ。まだ完全に治ってはいない。 「みんなべたべた、馴れ馴れしいんだよ。ムカつく」 ムスッとしながら不満を露にするユキヤ。 コウダイの側にいたい、一緒の大学に行きたいからヨシト殿下と篤人に頭を下げた。学費はもちろん出世払いで。 裕福な上流階級の子息や王族の子息ばかりが在籍する王立大学。施設の出だからアイツは勉強が出来ないんだ、浮浪児だったから素行が悪いんだと後ろ指を指されることもあったが、ユキヤは全く相手にしなかった。 コウダイの側にいれるだけで幸せだったから。 「ユキヤ………待っ………」 いつもなら躓くはずもない小石に躓き転びそうになったコウダイを、ユキヤの逞しい腕が優しく抱き止めた。 「俺も日本っていう国に付いていっていい?」 「ユキヤ……」 にっこりと微笑み掛けられ、熱の籠った眼差しで見詰められ、コウダイの頬はみるみる真っ赤に染まっていった。
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