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虜囚
殺伐とした真っ暗な荒野に赤い月がぼんやりと浮かんでいた。
クラスメイトの命を助けるため自らの命を犠牲にしようとしたコウダイの真面目さと男気に惚れ込んだレジスタンスのリーダーサウルは、捕虜としてそのままアジトに連れ帰った。もちろんユキヤも一緒だ。
砂漠地帯はことに寒暖差が激しい。
夜になると冷たい風が吹き荒れ一段と寒さが厳しくなった。
渡された一枚の毛布に体と体を寄せ合い寒さをしのぐ二人。夕食は具のない味の薄いスープと石のように固いパンがたった一つだけ支給された。コウダイとユキヤは愚痴を漏らす他の捕虜とは違い、文句一つ言わず仲良く分けあった。
浮浪児だった頃と比べたらマシーー
ユキヤの口癖だ。
王族とはいえ、多くの孤児を養うため普段は質素な生活を送っているコウダイ。食べ物はみんなで分けあって仲良く食べる。その方が何倍も美味しいもの。常日頃の未央の口癖のお陰だ。
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