2人が本棚に入れています
本棚に追加
メモリーシャウト
1、メモリーシャウト
あれから、何日過ぎたのだろう? 偽りの夢にはいつか終点があるようにアリシアとリチャードの関係にも同じことがいえる。
「陛下、準備整いました」
そう言われてリチャードは横にいるアリシアに微笑むと
「わかった、俺は後から行く、アリシアを気品室に」
そう言われてラルクが頭を下げアリシアが出て行く。
そんななかアリシアはラルクから
「お願いがあります、レイヤ様が桟橋でお待ちだそうです」
その言葉にアリシアはお構いなしに走り出す。
その様子を見ていたラルクはクスリと笑い
「いってらしゃいませ、儚き姫よ」
そう言うなり機微を返すと立ち止まり大声で
「姫が逃げたぞー!!」
と叫んだ。
急いて通過しようとしていた兵士が慌てて立ち止まり
皇帝であるリチャードがかけよると
「陛下、私、制止したのですが、記憶がもどられたのか? 私に体当たりしてきまして」
そう言わりてリチャードは眉間に皺をよける。
『なぜ、こうなった?』
そう考えると兵士に
「探し出せ、見つけ次第生きたまま俺の前に連れて来い」
そう叫ぶと兵士がテレポーテーションの魔具で移動していたのでラルクは
「陛下災難でしたね、これで」
そう言いかけられてリチャードはイラついたようにため息をついて息を吐いた。
数分後、兵士がアリシアを連れて帰ってくると
「なんで脱走なんてまね」
そう問われてアリシアはツンッとすました顔をすしてそっぽを向く。
それを見ていたリチャードはイライラの限界がピークにたっした様に
「もういい、こいっ」
そう叫ぶとアリシアの腕をつかみそのまま謁見の間に入っていくとアリシアの顔を見つめて
「この様子なら、記憶は溶けてるな?」
そう問いかければアリシアは黙ったまま。
そして、普段開かない扉の鍵を開けるとアリシアを中に突き飛ばした。
アリシアが急いで起き上がり、しまった扉に近づけば
「そこで反省して居なさい、後で来るから」
その声を残してアリシアは俯いたまま
「嫌ぁあぁぁあぁぁ」
と泣きさけんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!