第1章 記憶

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『拓ちゃん俊ちゃん待って! 待ってよぉ!』 ……………………………………………… 「遥菜…遥菜……」 「……ん……」 肩をそっとゆする手を感じて目を開けた 「遥菜大丈夫か?」 上からのぞき込む優しい瞳が 心配そうに揺れている 「…拓ちゃん」 「ああ…俺はここにいるよ どうした…夢でも見たか?」 「うん」 ほっとした表情で ベッド脇の椅子に座る拓ちゃん ごつごつした拓ちゃんの大きな手が 伸びてきて私の頬をつつみこむ 私はこの手が大好きだ この手にふれていると とても安心する 頬にあるその手の上に 自分の手を重ねた 「ずいぶん昔のことなのにね」
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