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そして、食事が運ばれてきたのだが・・
「お待たせしました~。天使のイチゴパフェとシーフードオムライスでごございます。天使のイチゴパフェは、女性のお客様で良かったですか?」
と、女子店員は親切心なのだろうが、余計な気を使ってくれる。
「あ、いえ、オムライスを私に。パフェを彼に。」
と言うより他になかった。
刀夜の前に置かれた大きなガラスで出来た逆三角の入れ物の中には、最下層にはコーンフレーク、その上にはイチゴヨーグルトとアイスクリーム、その上からこれでもかってくらいに生クリームがのせられ、合間にはカットイチゴがふんだんにちりばめられていた。最上段には生クリームの上に、イチゴソースがかかった特大のイチゴと、メレンゲで作られた天使の羽が鎮座していた。
刀夜は柄の長いスプーンで一口一口味わって食べていた。
一口食べる度に「うまい」「美味」「超絶」と言っている。
オムライスを頼んだのがモーレツに悔やまれる。刀夜と同じものを頼んでいたなら、もっと食事デートらしかったはずだ。
オムライスを半分食べ終わって、試しに刀夜に聞いてみた。
「ねえ、刀夜。それ美味しい?私に一口くれない?」
刀夜は少し考えてから、店員さんを呼んで、スプーンをもうひとつ用意してもらった。そして、刀夜がまだ食べていない部分の生クリームと、大きなイチゴをすくって、私に渡してくれた。
いや、イチゴをくれるのは嬉しいんだけどね。もっとさぁ、デートらしいことない?刀夜が食べてるスプーンで、私にあーんしてくれるとかさ。
・・なんて思いながらも、またしてもそれを言葉に出来ない自分自身が情けない。
私と刀夜のオーダーは、今度からは刀夜と同じメニューの甘いものを頼もう。そして、食事デートを成立させよう。
もはや味気なくなってしまった、残ったオムライスを口につめ込み、そう誓ったのだった。
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