来店者1 柿沼 隼人

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来店者1 柿沼 隼人

ピリピリとする空気を漂わせているのは、とある大企業のオフィスビルの4階からだった。 何の企業だか分からないけど、とにかく社員のみんなはイライラしていた。 「柿沼さん! 明日の会議の資料は出来ましたの?!」 ひとりの女性社員が、柿沼と呼ばれる男の前にやってきた。彼は今彼女が言った、会議の資料をパソコンに打ち込んでいる最中だった。それ以外にも、彼のディスクの周りは仕事で使う書類の山でいっぱいだった。 「……いま、作成してます」 彼の気弱な声質が気に入らなかったのか、女性社員の苛立ちはマックスに達した。 「あなたね! その資料確か、今日の朝十時に終わっているはずでしょ?! それなのに……全然進んでないじゃないの!」 「はい……すいません……」 「すいません、じゃないわよ! 今日中に終わらせなさいよ!」 「はい……」 女性社員の怒りを聞いていた、他の社員達からヒソヒソ声が聞こえてきた。 「出たよ。オツボネ様の“ひ弱いじり”」 「いつに増してもおっかねぇ女だよな〜」 「でも、柿沼くんも悪いよね。早く作成しないから」 「そうそう、確かあの資料って、三日前に頼まれてたものでしょ? そんなの三日もいや、三日なくても作れるのにね〜」
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