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柿沼に対する悪口が、柿沼の耳に入ってくる。
ーー……もう、やだ。なんで僕ばかり
柿沼は、泣き出したいのを堪えて、ただひたすらに資料作成に専念した。
だけど、世の中はそんな甘くはなかった。
資料作成の期限が迫って来ていた。時刻は午前九時五十分だ。柿沼のパソコンを打つスピードが早くなる。しかし、彼はパソコンや機械には、滅法弱かった。
そこで、事件が起こってしまう。
「あ、完成……」
プツンッ……。
「え……?」
パソコンの画面が真っ黒になった。いわゆるショートを起こしてしまって、柿沼の顔色が見る見る青ざめていき、最悪なことにオツボネ様が「終わったー?」と、確認しに来てしまった。
「あ……。山崎さん……あの……」
「ん?……はあ!? なんでショート起こしてるのよ!!」
オツボネ様がパソコンの画面を見た途端、令和入って初めての怒声が、オフィス中に響き渡った。
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