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「連絡が取れたんですか!?」
「あぁ…
明日にでも迎えに来るそうだ…」
「そっか…
寂しくなるね?」
リロードの執務室に戻ったユウは寂しそうにドラゴンの頭を撫でた。
しかしすぐに笑顔になる。
「家に帰れて良かったです…
迷子だったんですかね?」
「それはわからない…」
「会話が出来たら色々聞けたんですが…
ドラゴンと話すのはまだまだ無理ですね…」
「ユウ…
戻る方法が見つからなくてすまない…」
「………
忘れてました…」
「え?」
リロードの目が点になった。
「だって皆さん良い人ばかりで楽しくて…
帰るなんて最近考えてなかったですよ~」
「ユウ…
強がってないか?」
「全然!」
ユウは笑顔だった。
「リロード兄様もいて、騎士団の皆もいて、街にも沢山優しい人がいて…
今は…
元の場所に帰りたくないです…」
「ユウ…
向こうにはご両親もいるだろう?」
「………
いませんよ?」
「え!?」
驚きユウを見るリロード。
ユウは今まで見せたことがない悲しい顔になっていた。
するとドラゴンがユウの腕の中から離れリロードの机に乗る。
そして尻尾でリロードの手を叩く。
「ドラゴンくん…
そんなことしちゃダメですよ?」
ドラゴンを回収し抱き締める。
するとリロードが立ち上がりユウに近付く。
そしてドラゴンごとユウを抱き締めた。
「り、リロード兄様!?」
「悲しい顔をさせてすまない…」
「き、気にしないでください!
少しだけ思い出しただけですし…」
「ユウ…」
抱き締める腕を離すとユウの横で片膝をつく。
そしてユウの手を取る。
「この地に来てくれて…
妹になってくれてありがとう…」
「リロード兄様…
こちらこそ兄様と呼ばせていただいてありがとうございます!」
ニッコリと笑うその顔はいつものユウだった。
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