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「でかすぎませんか!?」
次の日。
迎えが来たとリロードに聞き外を見ると、街を見下ろす大きなドラゴンがいた。
街が半分影になり街の人が怯え家の中に入っている。
ユウはドラゴンを抱き上げフロウを唱えると大きなドラゴンに近付く。
「すいません…
もう少し街から離れるか、少し小さくなって貰えませんか?
街の人が怯えてますから…」
自分よりかなり大きいドラゴンにも怯むことなく話しかける。
大きいドラゴンに顔を近付けられじっと見られるも目をそらすことなくユウも見つめる。
大きいドラゴンは鼻をならすとゆっくりと小さくなっていく。
小さくと言っても三メートルはあり上から見下ろされる。
「小さくなってくれてありがとうございます。」
『これくらいなんでもない…』
ペコリと頭を下げたユウに少し低い声が聞こえた。
まわりを見るがいるのは自分と小さなドラゴンと大きなドラゴンだけ。
『人語は理解できている…
息子は幼いゆえ伝えることはまだ出来ない…』
「この子は男の子だったんですね?」
『我が名はグリオルフェイルス…
息子はリシュエリガルムだ…』
「私はユウ·カミシロです。
えっと…
グリオ…」
『グルスでかまわん…
息子もリムで良い…』
「助かります!」
小さなドラゴン、リムはユウの腕から離れるとグルスの背中に乗った。
その様子を見て笑顔になるユウ。
『優しき少女よ…
エルダードラゴンの命によりそなたを連れていく…
こちらへ…』
「あ…
すいませんが辺境伯の許可がないと街の外に出てはいけない決まりで…」
「大丈夫だ…
私もエルダードラゴンに呼ばれている…」
リロードの声がし振り向くとリロードは騎士団の正装衣装に身を包んでいた。
「あの…
私普段着なのですが…
そんなに怖く厳しい方なんですか?」
「エルダードラゴンはドラゴンの王だからな…
怖くはないが辺境伯としてはしかるべき服装で会うのは当然だ…
ユウは…」
「少し待っててください!」
ユウは飛行魔法を唱え一気に屋敷まで戻り着替えまた戻って来た。
ユウが着てきたのはディアレストがユウのために作ってくれた決闘の時に着た服。
騎士団の正装に似ている。
「こ、これではダメでしょうか?」
『情熱の様に赤き衣か…
似合っているぞ…』
「あ、ありがとうございます…」
『では背中に乗ると良い…』
グルスは地面に体をペタリとつけると少し体を大きくした。
まずはリロードが乗りユウに手を差し伸べる。
「し、失礼します…」
恐る恐る背中に乗るとリムがユウの前に座る。
グルスはゆっくり体を起こすと両手の翼を広げ一瞬で空高く飛び上がりそしてどこかに飛んでいった。
街の人たちはユウの身を案じながら見送った。
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