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また、嘘で塗り固められた詐欺師を探し出すのは、ただでさえ難しいのに。
手がかりが極端に少ない場合も手に負えないし。
虚偽の事実で相手を陥れようとしてるケースも見抜かなければならない。
そのため。
いつもバディの天才ハッカーが、ターゲットだけじゃなく依頼者とその事実関係も調べていた。
うん、確かに…
依頼者の母親は陽子線治療が必要な状態で。
そのためらしき300万も引き出されてるし、他の情報も申告通りね。
ただ…
揚羽はターゲットの調査データに疑問を持つ。
詐称ではなく、本当にエリートなのだ。
それも、大手証券会社の営業マン。
「ねぇ倫太郎、どう思う?」
その日仕事を終えると、揚羽は真っ先にバディの家を訪れていた。
「どうって…
身分詐称も甘かったし、初犯なんじゃね?」
倫太郎と呼ばれた天才ハッカーは、その切れ長の大きな目を揚羽に向けた。
「でもそんな高給取りで人目につく多忙な人間が、わざわざリスク負って犯罪に手を染める?
しかもここまで男前とか…
なんか胡散臭いと思わない?」
「いやそれまんまアンタだろ」
「は?
ケンカ売ってんの?」
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