129人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
そう、何も知らなくても…
揚羽にとって倫太郎は、気を許せる存在だった。
最初から自分の素性はバレていて…
だからといってどうなるわけでもなく。
だからこそ何の詐称も必要なく。
何の飾りもいらなければ、何の駆け引きも何の気兼ねもいらないからだ。
「シャワー借りるわね。
あ、タオル貸して?ちゃんと洗濯したやつ」
「どれもしてるよ、洗濯くらい」
「料理はしないくせに?」
キッチンに置かれたカップ麺の空容器に視線を向ける。
「別に、プロテイン摂ってるし」
「まったく…
最近作りに来てなかったし、近いうち栄養がつくもの作ってあげる」
揚羽はたまに、倫太郎に手料理を作ってあげていた。
それは例の、最後にした美人局がきっかけで…
ーーー
ーー
ー
「守れなくてごめん…」
酷く落ち込む倫太郎。
「だから全然大丈夫だし、倫太郎は悪くないから。
むしろ天才ハッカーの力で、こうも身の安全が守られてるワケだし」
「それじゃ守ってる気しねんだよ!
俺はちゃんと、ボディガードで守りたかったのに…」
最初のコメントを投稿しよう!