クロアゲハ

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「もう、駄々こねないでよ」 「ガキ扱いすんなよっ!」 「そうやってムキになるとこがガキなのよ」 そう言われて、しゅんとなる倫太郎。 だけどそれが可愛いくて… 揚羽はやれやれといった様子で、感謝の気持ちを口にした。 「あのさ、いつも私の動向を見守ってくれてるけど… それもボディガードになるんじゃないの? 実際、すごく大変な事だと思うし… だからちゃんと、エネルギーつけなきゃね。 何食べたい? これでも感謝してるから、好きなもの作ってあげる」 「っ、はっ? それ食えんの?」 倫太郎は泣きそうな顔で小馬鹿に笑った。 わかってくれてた事、労ってくれた事に泣きそうだったのだ。 でもそれだけじゃなく… 両親がネグレクトで、その離婚後どちらからも引き取られず。 幼い頃から親戚中をたらい回しされて来た倫太郎は、問題ばかり起こしてどの家でも煙たがられていたため… 誰かが自分のためだけに料理を作ってくれるが初めてだったのだ。 「あんた殺されたいの?」 「じゃあ生姜焼きなら死ぬ気で食ってやるよ」 そう憎まれ口を叩きながらも、今度は心底嬉しそうに笑った。 ー ーー ーーー
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