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「見てみなよ」
「わー!きれーい!」
虫取りが大好きだった兄はとりわけ蛍を取るのが一番好きだった。
子供の頃は毎年夏になると夜に近くの山へ一緒に出かけてたくさんの蛍を捕まえたものだ。
一匹一匹捕まえているときは捕獲に集中していて気付かないが家に帰る途中、大きな虫かごの蛍たちは懐中電灯がいらないくらい強く光り輝いていた。
夜を照らす美しい光、というと大都市の夜景もたしかに綺麗だ。虫かごとは比べられないくらい壮大なイルミネーション。
でも私は蛍たちが放つ、不規則な、生き生きとした光の方が好きだ。
光が強いもの、弱いもの。発光の間隔が短いもの、長いもの。一匹一匹に個性があってまさにそれはただの光じゃない生命の輝きだった。
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