5人が本棚に入れています
本棚に追加
2
「ねえ君、死にたいの?」
「うあっ!」
びっくりした!
びっくりし過ぎて飛び上がって、もうちょいで足滑らせるとこだった!
慌てて柵に掴まって声の方を見ると、若い女の子が柵に腰かけて、僕に微笑んでいる。何で、いつここに、誰か来た気配なんて微塵もなかったぞ。
彼女は小首を傾げて、まじまじと僕を見つめて来た。
「ね、ホントに死ぬ気なの?」
大きな瞳で、まるで明日の天気でも質問するみたいに、さらっと問い掛けて来た。
うん、ホントに死ぬ気だよ。だから靴脱いでここに立ってるんじゃん。見て分からないの?
そう答える前に、彼女は柵からすとんと降りて、僕と並んだ。
「それなら死ぬ前にひとつ、私のお願い聞いてほしいんだけど」
お願い?
「……何?」
「血、吸わせてよ」
「はああああっ?」
ちょっと意味分からない。彼女、変態さん?
血を吸うプレイなんてあったっけ。あ、もしかしたら猟奇的な変態さんなのかな。こんなに可愛いのに、人殺しとか好きだったら嫌だな。僕的に自殺は良いけど、他人に殺されるのはごめんだ。すんごい痛くて苦しそうだもん。
訝しんでいると、彼女は思い出したようにつけ加えた。
最初のコメントを投稿しよう!