第四話

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 薫に繋がる手がかりを得たのは、本当に偶然だった。  バイト先で雑誌の整理をしている時、想い人に瓜二つの俳優が表紙を飾っていた。髪型は異なっていたが、伸びたら多分、ほぼ同じになる。  思わず中身をめくっていた。  ――皐月(さつき)(かおる)。  インタビュー記事の終わりに、名前があった。  唯一知る「薫」だけが、一致していた。  顔がたまたま似ているだけ。下の名前が一致しているだけ。本名かもわからない。それでも無視できないほどに、第六感が訴えていた。  帰宅して、「皐月薫」を改めて検索してみたら信じられない量の情報が手に入った。  歳は二十八であること。大学生の頃から俳優を続けていて、二年前に出演した『まぶしい月に誘われた僕は』の役が当たりとなり、今や主役も脇もこなせる名優になったこと。  スマホを持つ手が震えた。残ったピースが急に嵌まり出したようだった。  ――いっそ、このまま自然消滅した方が、お互いのためにいいのかもしれない。ましてや、恋心なんて無駄だ。再会できたとして、今までみたいに誰にも見つからないとは限らない。見つかったら迷惑しかかけない。  そう思い込もうとしたのに、できなかった。我慢すればするほど募って、会いたくて、たまらなかった。  自分にとって、皐月薫は「お兄さん」以外考えられなかったのだ。
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