小夜曲

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ご近所のコウさんは、フリーペーパー『pandora』の発行人。 俺は、仕事の傍らお手伝いでカメラマン兼ライター。 失恋話の顛末は、連れの彼女の友達と偶然居合わせ、意気投合したような気になった。 それというのも、偶然が何度か重なり「これは運命ですね」などと微笑まれて、つい、運命かぁ。と思ってしまったのだが、城には敵わなかったというか、攻め込む前に白旗というか。 そんな処だ。 別に落ち込んではいない…と思う。 割とよく言われる。 「友達としてなら」と。 その境界線は何処にあるのか…。 「今月休んだ分動いてよ。スーパームーンとは言わないからさ」 「了解です」 発行日は20日。9月号は月見。というのを、9月20日の10月号にしようと言い出したのは俺だった。 先取りも大事だけど、タイムリーも大事。みたいなことを6月頃提案した。 今年は、当市が防災訓練の大規模会場に指定されていたし、9月号は命を守る。がテーマ。 尤も、今月は腑抜けていて、殆ど顔を出せずに居たのだ。 「月見かぁ…」
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