小夜曲

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月を愛でるのに最適な場所。 何処に居ても、月明かりは等しく降り注ぐ。 少し高みからの方がいいだろうか。 彼女の為にピックアップした、山城へのドライブ、ハイキングコース。 こんな処で役に立とうとは…。 近くはスワハラか。 「コウさん、俺、一寸スワハラ迄走って来ますよ」 「え?今から?」 「ん、だって、夜でなきゃ意味ないでしょ」 「まぁ、そうだけど、今夜は新月だよ」 「え…新月…」 「いいけど。暗闇に浮かぶ新月もあり」 「あー、なんか、色々すみません。素直にコウさんの言うこと聞いてりゃ良かった」 「ま、防災は大事だから、これはこれでいいんじゃないかな」 「俺、浮かれてました?」 「ん、若干?」 「あー、やっぱり…まぁ、とりあえず、一寸行くだけ行って来ますよ。また明日寄ります」 「ん、待ってる。気をつけて行って来て」 「はい。コーヒーご馳走さま。じゃ」 既に暗い空を見上げて、西に向かってバイクを走らせた。
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