3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
容姿端麗。
頭脳明晰。
非の打ち所のない僕の彼女は
……料理がマズイ。
「いや、ほんと。それだけなのよ。後は、完璧!」
愚痴のようなノロケを、彼女いない歴イコール生育年数の後輩に今日も聞かせてやる。
「大学のミスコン覇者で商社の会長秘書をされてるんっすよね。そんな賢い彼女さんなのに、どうして料理が上達しないんっすかね? ちゃんと『マズイ』って教えてあげてるんすか?」
「バッ……!」
━━バッカだなぁ~。そんなんだから、君はいつまでも一人なんだよ!
……と言いたいところを、優しさというオブラートにくるんで飲み込む。
「『マズイ』なんてダイレクトに評価したら、傷つくだろ? そこは『おいしいよ』と言った上で、『もう少し濃い味でもいいかな』なんて、マイルドにアドバイスしてやるんだよ!」
「はぁ~。そういうもんっすか」
「まぁ、君には分からないだろうな。女心が」
料理がマズイくらい、何てことはない。
僕の彼女は、そんな欠点を補って余りある魅力に満ちた女性なのだから。
最初のコメントを投稿しよう!