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夷藤さんは県内の大学に通う学生さんで私とは1つしか歳が違わない。
彼は少し面長な輪郭で、茶色がかった髪を短く整えている。目は奥二重ですが、切れ長で私は好ましく感じます。
「いや、俺のも白身魚だよ」
彼は少し笑ってそう答えた。
夷藤さんとはこの町で出会った。
私達は友達、なんでしょうか?
夷藤さんとの付き合いは長くないですが、彼が優しい事は充分に知っている。
「では詐欺です。ハントンなのに豚じゃないだなんて」
「いやいや、ハントンのトンは豚って意味じゃないから」
夷藤さんはオムライスにスプーンを刺した。
お店は古い喫茶店のような所でまぁまぁ人が混んでいる。誰も私達を気にしている人はおらず、店内は日曜日の騒がしさが感じられる。
「ではどういう意味ですか?」
私が首を傾げてそう聞くと
「何だったかな?」
と、熱そうなオムライスをふーふーしながら答えた。
「それでも夷藤さんは金沢市民ですか」
「金沢で産まれて住んでたら誰でも金沢市民だよ」
彼はオムライスから顔を上げた。
「むぅ」
確かにそうですが、薄情な金沢市民です!
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