0人が本棚に入れています
本棚に追加
二年間歩き続けたいつもの通学路を私は歩いていた。今朝見た夢を思い出しながら。
あの夢から時間が経つが、空を飛んでいた感覚は今でも覚えている。やけにリアルな夢であった。もう一度空を飛びたいと夢を見ようとしたが、中々起きてこない娘に痺れを切らした母が起こしに来たため夢は見ることが出来なかった。そのことを思い出すと深いため息が出た。いつかまたあの夢を見ることが出来るだろうか。もし見ることが出来たのなら、今度こそずっと飛び続けたいものである。
夢のことを考えていたら、あっという間に学校に着いてしまった。いつもの学校、いつものクラス、いつもの机の落書き。何一つ変わっていない。
窓側の前から三番目のいつもの机に鞄を置き私は席に着いた。消しても消しても消えない机の落書きは、今日も無邪気に私を笑っている。
私はこの席が大好きだ。なぜなら、様々な空を見ることが出来るから。いつものように空を見上げると………。
ポツポツと白い雲が見られ、吸い込まれそうな青く澄んだ空。
驚いた。夢で見たあの空がそこに広がっていたからだ。いつも下を向いて歩いていたため気が付くことが出来なかった。
そして私は、ある衝動に駆られた。
“この空を飛びたい”
あぁそうだ、もう一度あの夢を見よう。そして空を飛ぼう。ずっとずっと…。
私は窓の鍵を外し窓を開けた。
窓のレールに足を掛け体を持ち上げて、そして………。
最初のコメントを投稿しよう!