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プロローグ
1990年に新しい生命が産まれた。両親は正義の心を持って人生という山を登り切ってほしいという意味を込めて、義登と名付けた。義登は活発な男の子ですくすくと育った普通の子だった。しかし、そんな義登には人の心が色として見えるという特殊な能力があった。
そして、この男は日本史上最悪のテロリストとして後世にまで名を残すことになる。
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2017年 7月20日
季節は夏。梅雨。この日も雨が降っていた。延々と終わりはないのではないかという雨が。義登は自宅の前で、雨の中で一人立っていた。2年前に建てた戸建ては、夢と希望と沢山の幸せが詰まっていた戸建ては、寂しそうにその背中を見ていた。そして、2時間が経過した義登はおもむろに動き出した。ポケットから出したスマホには1.1.0の数字。その後に1.1.9番。そして、最愛の妻との永遠の別れを少しずつ、少しずつ実感していた。心の中はドス黒く荒れていた。自分への怒り。そして理不尽な世界への怒り。全てがごちゃごちゃに、まるでパレットの絵具のように混ざって、混ざっていた。
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