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「なんで、あんたがここにいるんだよ?」
「それはこっちの台詞だよ」
「ここは俺ん家なんだから、いて当然だろ。なに? 今日から来る家庭教師って、もしかしてあんたかよ?」
生意気なところもあの夜と同じだ。
「そうだよ。……中に入るぞ」
雪人は部屋の中へと入り、扉を閉める。
空が座っている椅子の横に置かれた雪人用の椅子にどさりと腰かけ、思わず頭を抱えた。
いったいどういうことだ? あれは夢か幻覚じゃなかった?
「……なあ、聞いてもいいか?」
「なに?」
「あの、例の乗り物……どうしたんだ?」
「ああ、あれはコンパクトにたたんで、木の陰に隠してある」
空の答にますます頭を抱える。
「なあ」
「なんだよ?」
「おまえん家って、超金持ちなのか?」
「うーん。そこそこは金持ちみたいだけど、別にセレブとかじゃないし。なんで?」
「あんなUFOもどき作れるくらいなら、相当な金持ちだろ」
前髪をかき上げながら呟くと、空は腕を組みながら偉そうに言葉を返してきた。
「あれは本物だって言ってんだろ。あんたら地球人が言うところのUFO」
「……おまえもどう見ても地球人にしか見えないんだけど」
「あのさー、あんたってエイリアンに偏見あるんじゃないの? 例えばタコみたいな姿やグロテスクな姿ばかり想像してるだろ」
確かにそれは図星であるが、こんなこと簡単に信じろという方が無理だろう。
「エイリアンの中にも地球人とほとんど変わらないのもいるし。大体俺はこの前あんたを元いた場所へ帰してやったんだぞ。お礼くらい言ってもいいんじゃない?」
「……そのことは感謝してるよ。どういうからくりを使ったかは知らないけど」
確かにあのときは一瞬でキャンプ場へ戻っていて、不思議でならなかったが、それでも目の前の少年の言うことをすんなりと受け入れることなどできはしない。雪人が生きて来た二十一年間の常識を覆してしまうことになってしまう。
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