本物の異星人?

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本物の異星人?

 呆気にとられている雪人の前で、空がひどく疲れたように息を吐き出す。 「……テレパシーを使うのはすごくしんどいんだよ」 「……大丈夫かよ?」  座っている椅子から今にも滑り落ちそうになっている空を雪人は支えてやった。 「大丈夫……これで少しは信じる気になった?」  椅子に座りなおしながら、空が挑むように雪人を見る。 「まあ、少しはな」  そう答えざるを得ない。  ノックの音がして、空の母親が顔をのぞかせた。  手には雪人が手土産に持ってきたケーキと紅茶がのったトレイを持っている。 「空、先生にわがまま言ってない?」  ニコニコと優しそうな笑みを浮かべながら、空の母親は小さなテーブルの上にケーキと紅茶を置く。 「言ってない」  空が心外だというふうに答える。 「先生、空がわがまま言ったら、遠慮なく張り倒してやってくださいね」 「は、はあ」  上品な表情と声で、乱暴な言葉を残し、部屋を出て行く母親を見送っていると、空が瞳を輝かせて聞いてきた。 「このケーキ、あんたが持ってきたの?」  テーブルの上にあるチョコレートケーキとイチゴのショートケーキに視線を投じる空はさっきまでのふくれっ面はどこへやら、超ご機嫌である。  どうやら空は甘党のようだ。  ……甘党のエイリアンねぇ……。  人間というものは一度受け入れてしまうと、あとは耐性ができるものらしい。  雪人は早くも空が普通ではないということに慣れ始めていた。 「『このケーキ、先生が持ってきたんですか?』だ」  雪人が注意をすると、 「うるさいな。あんまり小さいことにこだわってるとモテないぞ。雪人」  またもや生意気な言葉が返って来る。 「あのなー、俺は一応おまえの先生なの。呼び捨てを止めなきゃ、このケーキ食わしてやんない」  雪人はチョコレートケーキとショートケーキの皿を手に取ると、空から遠くへ離してしまう。 「雪人、ずるいぞ。ちょっと背が高く、手足が長いからって威張るんじゃない」  必死になってケーキの皿を奪い返そうとする空の様子は子供っぽくて、不覚にもかわいいと思ってしまう。 「雪人先生って、言えたら食わしてやる」  雪人が空を見下ろしながら命令すると、彼は悔しそうに唇を噛んでから、消え入りそうな声で言った。 「…………雪人……先生」  生意気美少年エイリアンを言い負かすのはすごく快感だった。
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