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私の背中がピリっと強張った。
「おは……よう」
旦那がいたことに気づかなかったことに若干の後悔をしながら、でもいて当たり前だよだって朝だもん、と自分の中で無理矢理な納得をこじつけながら旦那の方をむいた。
そこで、ふと疑問に思う。
昨日私は、どうやって寝たんだろうが
全裸にされて、絶頂というものを強く感じたところで私は意識を手放した。
つまり、イッてそのまま寝てしまったということ。
もしかして、裸で寝ていて衣服を治していたのは旦那……!?
私が困惑していると、目覚めたばかりの旦那はぼうっとした寝ぼけた表情で私を見据えると、頬にそっと触れた。
「……あれ」
疑問が混じった声に、どくんと心臓が波打った。
バレたのだろうか。
首筋に、じんわりと汗が滲むのを感じた。
あれは、浮気になるのだろうか。
けれど、旦那の口から出た言葉は予想からかけ離れたものだった。
「綺麗になった?」
なんか色っぽいような……と不思議そうに続ける旦那の言葉に、喜びでぶわっと体が熱くなる。
そんなことを言われたのはいつぶりだろうか?
いや、最早何年振り?
ああ、あれが夢だったとしてもいいや
旦那に褒めてもらえるなら、もう、きっとこの先私は苦しまなくてすむように、きっと――
そう、思った瞬間
「僕が色っぽくしたんですよ」
悪魔が、現れた。
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