どうも、イケメン悪魔です

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どうも、イケメン悪魔です

こんにちは、奥さん。僕には名前も何もありません。貴女の伴侶への対しての純粋な愛が憎しみへと変わった瞬間があまりにも美味しそうな匂いがしてついついつられてしまった、ただのしがない悪魔です。流石に、聖書にあるような本来の悪魔の姿では女性は好まないと重々理解していますので、俗にイケメンと呼ばれる姿となり僕はここに現れました。美しい顔というのは参考になるものは溢れる程あるのでイケメンというものになるのは悪魔には容易いことです……フフ、流石に、自分でイケメンというのは変かもしれないですね。まぁでもそれは一般的な人間がそう思うことが多いというだけなので、今はどうでもいいでしょう。僕の目的はただ一つ。貴女が欲しい。 フフ……頬をそんなに赤くして……ほら、目まで潤んで……ああ、なんと美しい。大丈夫、怖がらなくていいですよ。貴女にとってもいいことをするのですから。……おや、ああ、子どもがいるんですね。そう、貴女には夫という人生を誓い合った者がいることは知っていますよ。むしろ、貴女がその彼を思うことで私はここに来たのですからね……さぁ、愛らしい坊や。その子の顔を見せてください。そう、怖がらなくていい、いい子だ……フフ、5か月といったところでしょうか。夜泣きは小さき人間にはつきものですものね……フフ、ええ、そりゃあわかりますよ。悪魔は全てを見通すことが出来る好奇な種族ですからね……それに、貴女の目元の隈を見ればわかります。寝れなかったんですね……そして、愛してくれるはずの人が何も手を貸してくれなかった。……大変でしたね。おかげで、私はとても魅力的なごちそうにありつけているんですがね、フフ。 そうですか、貴女の旦那様は飲み会、と……貴女のその浮かない様子からするに、今日は終電を過ぎても帰らない、朝帰りの可能性が高い――ですね。……おや、とても驚いた表情をしていらっしゃいますね。ああ、子どもが寝たからですね。大丈夫ですよ、僕は子どもが好きな方ですから。催眠も、子どものための軽めのものにとどめておきました。このまま朝までぐっすりと寝てくれるでしょう。フフ、悪魔である僕は、こういう眠りの術は得意ですからね。さぁ、これで全ての準備は整った。子どもをそっと寝かせて。……そう、ああ、貴女はとても利口な人ですね。美しく、利口で、愛らしいお人だ…… フフ、こんなボサボサな頭と化粧も受け付けないボロボロの肌の自分は美しくないと? ……いいえ、美しいのですよ。貴女は、どれだけ嫌になろうとも子への愛情は保ったままだ。それが美しいと言わずとしてなんと呼べるでしょうか。……ほら、ねぇ? 美しいのですよ。母である貴女は、母としての愛を持ちありのままの姿で居るからこそ、美しいのです。 さぁ、こちらを見て。 僕を見て。 子どもを寝かせた褒美に。 貴女の愛液を僕にたっぷりくださいね。
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