合法なる罪

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「私は、逃げたのです。当時、逃げようという気持ちすら気付いていなかったでしょう。他の理由を探して、私は職場を変えました」  本当にその時の彼が考えていた事は分かり得ない。しかしながら、今振り返ってみれば『逃げた』としか思えないのであろう。そして実際、彼は逃げ果せたのだ。 「全てを忘れて、家族がいて…。幸せでした。だから、すっかり忘れていたんです。自分はそんな事が許されないようなー卑劣な罪人であると」  そして、彼の罪は彼以外が贖う事となった。
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