1人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
佳鈴はその日の晩になって、ようやく食欲が戻るようになるまで回復した。だが未だに微熱が続いている。
(はあ……そろそろ寝よ)
千幸は眠りにつく前に、隣で横になっている佳鈴をちらりと見やる。
(まあ体調崩さない方がおかしいよね、お母さんが亡くなって間もない上に、生活も急に変わったし。熱出したのはストレスが原因なんだろうね)
夢見が良くないのだろうか、佳鈴の寝顔は険しい。
(それに、この子が泣いたり弱音吐いたりしてるのを見たことない。無理矢理でも聞き出した方がいいのかな)
千幸は「病院」という言葉を出したときの佳鈴の強張った表情を思い出した。
(でも……できれば辛いことは思い出させたくない。……もう考えてもわかんない、寝よ)
布団を被り、横になって目を閉じる。佳鈴の微かな寝息を聞きながら、千幸も眠りに落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!