鈴を揺らして

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「ーーちゆちゃん、ちーゆーちゃん! 起きて! もう朝だよ〜!」 声が聞こえるが、瞼が思うように開かない。あと5分だけーーそう思って目を閉じようとすると、布団が思い切り捲られる。 目をしょぼつかせながら起き上がると、佳鈴が得意げな表情で布団を掴んでいた。 「やっと起きた、おはよう」 「……おはよう……もうちょっと優しく起こしてよ……」 「だってちゆちゃん全然起きないんだもん」 (それはあんたに夜中起こされたせいだけど……) 喉まで出かかった言葉を飲み込む。 「そういえばあんた、調子はどうなの」 「もう元気! 熱も下がったよ」 そう言う佳鈴の顔色は昨日よりもかなり良くなっている。どうやら嘘ではなさそうである。 「若い子は回復が早いね……」 欠伸をしながら千幸はコーヒーを入れる。そして2人はいつも通り身支度をし、家を出る。 千幸がいつも使っている最寄りの駅は、佳鈴が向かうバス停とは逆方向にある。そのため、マンションを出るとすぐに2人は別々になる。 「それじゃあ、気を付けてね」 「あ、ちゆちゃん待ってっ」 千幸が駅へ向かおうとすると、佳鈴に呼び止められる。
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