鈴を揺らして

千幸の不安をよそに、佳鈴は千幸の部屋での生活にすぐに慣れていった。
それどころか、佳鈴は千幸の予想以上にしっかりしていた。炊事や洗濯などの家事は佳鈴が担うようになり、千幸が遅くに帰ってきた時も、佳鈴は夕飯を作り置いていた。
時折、佳鈴が料理の最中に
「あっ、入れすぎちゃった」
「ふきこぼれたよ〜、ちゆちゃん助けて〜！」
などと言うことはあったが。
そして、今日もこうして食卓を囲み、その日あったことなどを面白おかしく話す。最初のうちはお互いに緊張しておりぎこちなかったが、今ではそんなこともない。
そしてその日も、いつも通り今日あった出来事を面白おかしく話していた。その最中、佳鈴がふと千幸に尋ねた。
「さっきの電話、誰からだったの？」
「ああ、前の彼氏から。もっかいやり直そう、今から会えないかって聞かれたから、電話切ってやった」
そう答えると、佳鈴は少し考え込むような顔をした。