鈴を揺らして

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「……ちゆちゃんが彼氏さんと別れたのって、もしかして私がちゆちゃんの家に住むようになったから?」 「え、何でそうなるの」 「だって私がいると家に彼氏さん呼べないし、もしかしてそのせいもあるのかなって……」 佳鈴は気遣わしげな表情になった。2人での生活に慣れたとはいえ、時折、佳鈴は千幸に遠慮する素振りを見せる。それが千幸にとってはやるせなかった。 確かに、佳鈴が住むようになってから家に彼氏を呼べなくなったのは事実だ。しかしそれは別れた直接の理由ではない。 (天然のくせに意外と気にしいなんだから) 「違うよ、前々から合わないなって思ってたから別れようって言ったの。ぜんぜん佳鈴のせいじゃない」 「そう、なんだ……」 佳鈴はほっとした表情を浮かべた。 「それにあたし、すぐ男と別れちゃうし。今に始まったことじゃないよ」 「えっ、そうなの?」 「そう。この2年で3人と付き合って別れた。あたし恋愛向いてないのかも知んないね」 千幸はそうポロリとこぼした。家を飛び出して一人暮らしをしてから、時たまどうしようもない寂しさに襲われることがあった。千幸はその寂しさを埋めるために男と付き合っては、愛情が冷めて別れるのを繰り返していた。 「きっとちゆちゃんにはいい人が見つかるよ。たまたま合わなかっただけだって」 佳鈴は千幸を励ますようににっこり笑った。千幸もそれにつられて少し口角が上がる。 「うん、そうだといいけどね」
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