4・強制捜査

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〝ピーーーッ〟と電子音がして開錠されたようだ。  石井は大きなレバーハンドルを90度捻ってドアを引いた。 「・・・・・・」一同がその中に目を凝らす。中は真っ暗だった。 「おい、行け」  村岡が後ろにいる機動捜査隊のメンバーに顎で指示をした。  拳銃を構えたまま中に足を踏み入れる隊員。 「出てきて下さい。動けますかぁ?」  三人とも中に入る。  黙ってそれを見ている石井。チラッと村岡を見ると目が合った。 「本当にいるのか?」と聞く村岡にコクリと頷く石井。 「スイマセン、電気は点きますか?」  中に入った隊員の一人が出てきて石井に聞いた時、 「グゲェア~~ッ!」  と異様な声がしたと同時に「うあぁっ!」と中の隊員が後ろ向きに放り出された。その隊員とぶつかりスーツの刑事が一緒に倒れた。 「何だ?!」 「ギャァアオゥグェ!!」 〝パンッ!〟〝パンッ!〟2発の銃声がした。 「クマだ! クマがいるぞ!!」 「何だと?!」  それを聞いて石井を放り出して逃げだす村岡。他の隊員もドアから飛び出して来た。その勢いで転がり四つん這いになって立ち上がる。 「お前ら、仕留めろ!!」 「うあぁあっ!!」 「撃てよ! 撃てっ!」 〝パンッ〟〝パンッパンッ〟  起き上がった機動捜査隊がドアの中に向けて拳銃を撃ち放つ。  次の瞬間、姿を現したのは熊などではなく人間だった。暗がりでよく見えないが男であることは間違いなかった。 「人間じゃないか!」  叫ぶ村岡。石井はその間に距離を置いて横の部屋へ逃げた。その石井をまだ留まっていた大輔が見ていた。石井の逃げた部屋へ反対方向から先回りする大輔。 「やめろ人間だ! 撃つな~っ!!」  叫ぶ村岡に発砲を止める隊員達。 「えっ?!」  しかし次の瞬間すごい勢いで隊員に襲い掛かかる男。一人を捕まえると首を掴んで爪を立てて握りつぶしてしまった。 「ぎゃぁああああっ!」  噴き出す血を浴びながら獣のように仁王立ちする男は、なぜか警察官の礼服を着ていた。絶命する隊員を踏みつけて進んで来る男。 「現行犯だ! 撃て、撃つんだ~っ!!」 〝パンッ〟〝パンッ〟〝パンッ〟〝パンッ〟  銃弾が浴びせられるが気にもせずに進んで来る。 「何だ? どうなっている?!」  仰天する警官達。もう逃げるしかなかった。
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