2・香奈の性分

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「大ちゃん、接骨院はどうだった?」  帰宅した香奈が先に帰っていた大輔に声を掛けた。 「まぁシケたところだよ。設備も古いしな」 「そんなのカンケーないじゃん」  ホテルの厨房からもらって来た今朝の朝食用のバターロールパンを皿に乗せて出す香奈。それと同じくもらって来た業務用カレーをタッパに入れたまま出した。 「何これ、今日はカレーパン?」 「そだね、カレーパンになるね」 「カレーを温めて来いよ。来るついでに下で温めて来ればいいだろ」 「え~メンド臭い。このほうがカレーパンっぽくていいじゃん」 「温かい方がウマいに決まってるだろ?」  不満にあふれた顔でパンをカレーに浸ける大輔。案の定美味しい訳がなかった。しかし食に興味がない大輔は料理をしない香奈のことも気にならなかった。 「で、接骨院は今後どうするって?」  クチャクチャと音を立てて食べる大輔は、 「まぁ痛みが取れるまで通ってくれだと」  と言いながらリモコンでチャンネルを替える。 「じゃあ限度まで通うんだね」  ニタッとほくそ笑む香奈。 「まぁ俺は休めるからいいんだけど、接骨院はもっと美味しいよな」  香奈の顔をみて同じようにニヤつく大輔。 「だよね、あれ絶対知っていて延々と治療させているよね」 「そうさ、そうやって貯めた金で機械を導入しているわけだ」 「あんな機械、大ちゃんのマッサージ機でしょ」 「ああ、人体に悪影響は無いから暇つぶしにはいいアイテムだ」  香奈はパンに手を伸ばすと不意に、 「あ、そうそう。今日ね、その石井って爺さんと婆さんが挨拶に来たよ」  と石井夫妻の訪問を話し始めた。 「え、マジに? どこに?」 「ホテルに。一回寮まで来たんだってさ。私達がいなかったからホテルまで来たみたい」 「で、何だって?」 「手土産と見舞金持って来た」  大輔の眼がギラリとした。 「3万円。まぁ上等かね?」  香奈はその封筒をバッグから取り出すと大輔の前に出す。2万円を抜き取って渡したのだった。バレたら言い逃れすればいいと思っていた。 「まぁいんじゃねぇの。これから引き出せるな。あのジジイは出すよ」  無表情にテレビ画面を見つめる大輔。
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