月夜のおまじない

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 別名〝恋を叶えてくれる月〟とも言われ、連日のようにメディアで報道されれば、流行に鈍感な僕も流石に知っていた。  今夜はストロベリームーン。 「バイトが終わってからでも間に合うから参加するように!」  大学の写真同好会。  写真は撮られるのも撮るのも興味がない。  先輩がたまたま撮った写真に僕が写っていて、コンクールで入選した。  特にやりたい事はなく〝とりあえず〟入学した大学で、被写体としてスカウトされた。  僕は、顔は良くも悪くもなく、背も高くも低くもなく、体も太くも細くもない。  風景を邪魔することなく、自然に馴染んでいる。  居ても居なくても気づかない存在。  だからこそ、被写体として最適らしい。
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