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「さぁな、なんとも思っていないんじゃないか?起きて腹いっぱいになったら、勝手に飛んで行くだろうよ。」
1日しか一緒にいなかったけれど、ちょっと寂しいわね、クレアはじっとその愛らしい丸い生き物を眺めて思う。
暗闇の中に沈黙が降り、二人は気が重くなる出来事を考えずにいられなかった。先に口を開いたのはデンだった。
「セツナ様は、もうずっと何もお召し上がりにならない。医者の見立てだと、もう何日も持たないそうだ。」
窓の外では、か細い月明かりが、黒い城のシルエットをくっきりと描き出していた。クレアは庭園をよく二人で散歩していた母娘の姿に想いを馳せる。
「お嬢様はどうなってしまうのかしら...?」
さぁな、とデンは自分の禿頭を撫でた。
木兎の鳴く声が微かに聞こえて、デンはなかなか寝付けなかった。
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