最愛のあなた達へ

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 それはそれは長い旅だった。  旅の途中、辛いことや苦しいことはたくさんあった。怪我もしたし病気にもなった。上手く体が動かない時もあった。  でも、一番辛いのは一人だったことだ。  一人って、本当に本当に寂しくて辛いんだ。  宇宙は寒くて暗くて、まるで海の底のようだった。周りにキラキラと星が瞬いていて、手を伸ばせばすぐそこにあるようなのに、いつも掴むことが出来なかった。  もう諦めてしまおうか。  そんな弱音を吐きそうになる私を鼓舞してくれたのは故郷からの手紙だ。  手紙には写真も付いていた。子供達が私の似顔絵を書いてくれた。色紙に寄せ書きした写真を貰ったこともあった。私はそれらに大いに勇気付けられていたんだよ。私が弱音を書いて送るたびに、家族はもう少しだから頑張れと返事をくれた。  長い長い旅だった。本当に、長い――  何年も一人で旅をして、少年だった私も大人になった。  ある時、頭にコツンと何かが当たったんだ。それは小さな星だった。私はとうとう目的の場所についていたのだ。感極まって、目の前がぼやけてしまったよ。  星をまるごとでなくてもいい。ほんの小さなカケラでいい。  ちっぽけだって、それは大きな希望になるはずだから。  星のかけらを手にして、意気揚々と私は引き返した。ここまで来れたんだ。あとは帰るだけじゃないか。簡単なはずだった。  ……だが、長い旅の日々は私の体を少しずつ蝕み傷付けていたようだ。
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