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(何が入ってるんだろう・・)
何やら籠の中に向かって話しかけているようだ。女の子の問いかけは一方通行らしく、籠の中にいるなにかは返事をしない。話しかけるだけでは物足りなくなったらしく、女の子はアーチ状の籠の側面についている蓋を開けた。
僕は何が出てくるのかドキドキしながら見ていた。中々出てこない。女の子は籠の中を覗き込みながら手を叩いたり話しかけたりして、中にいるものを外に出そうと一生懸命だ。
すると、何かがゆっくりと顔を出した。
真っ黒な子猫だった。
子猫は、周りを警戒しながらゆっくりと上半身だけ出すと周りの匂いを嗅ぐように鼻をスンスンとする。
女の子は、子猫が出てきたことを喜び、子猫の名前を呼びながら和室を縦横無尽に走り回る。この猫は「みぃ」という名前らしい。
みぃは、警戒を解く事なく籠の近くでじっとしてキョロキョロしている。
そして、僕と目が合った。
僕はドキリとして目をそらすと、少し移動した。
何故そらしたかって?初めてだったからだ。誰かと目が合うなんてことは。
みぃは、いつまでも僕と目が合った場所を見ている。
(はぁ)
僕はため息が出た。この家族が気に入ればこの家に住むことになる。そうなると必然的にあの猫も一緒に暮らすことになる。僕は気が重かった。
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