来客

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(出来れば他の家に行ってほしいんだけど・・) 僕はそう望んだ。 しかし、話は僕の期待を裏切り順調に進んだらしく、あの不動産屋さんの嬉しそうな声が聞こえてきた。どうやらこの家族はこの家に決めたらしい。 見ると、不動産屋さんと父親と母親の三人で楽し気に話している。母親の城チェックもパスしたようだ。 (はぁ) 僕はまたため息をついた。 あれからすぐにあの家族は引っ越してきた。 家族の車を先頭に、引っ越しのトラックを二台引き連れて庭に入ってくる。あの時の父親の話では、アパートからの引っ越しなので荷物は少ないと言っていた。しかし、トラックの荷台から降ろされる家具類は多かった。恐らく、一戸建てを買ったのを機に家具を新調したのだろう。 (あ~あ) 僕は、次々と下ろされる真新しい家具を二階の窓から見て呆れていた。
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