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「随分長い事眠っていたようだね」
僕に話しかけている。
僕は今の自分の状況が分からず混乱する。確か・・・
遠い遠いはるか昔のお話を思い出すかのように、僕は考えた。
(あ・・・僕は・・・僕は崩れたはず)
日引は小さく肩を揺らして笑いながら言う。
「ヒヒヒ。そうさね。あんたは崩れたよ。自分自身で崩したんだ」
(じゃあここは・・・)
「答えが見つかったから崩れたと思ったんだがね。それに、家は何で出来ていた?木だろ?あんたが崩れた後、みずっちの会社があそこを更地にしたのさ。その時にあんたを少しだけ貰ってきたんだよ」
(貰って?)
「あんたが今いる場所は、私の家の和室。そこは床の間だよ。あんたは床の間の柱の一部さね。大工さんが嘆いていたよ。元の柱に違う木を埋め込むようにするんだから大変だったろうねぇ。ヒヒヒ」
日引は楽しそうに笑う。
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