再出発

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(失礼きね。私みたいに頭のいい猫はどこに行ってもちゃんと出来るきね) みぃと日引のやり取りを聞いていた僕は、みぃが僕のした事をそれほど気にしていないように見えたのでホッとした。 そして、自分の判断は間違っていなかったと確信した。 (だけど、他にもいるって言ったけど誰がいるの?) 僕は日引に聞いてみた。 「あんたの隣にいるさね」 僕は隣を見た。 僕の隣には、可愛らしいおかっぱの日本人形が立っていた。真っ直ぐに切り揃えられた前髪。つぶらな瞳。柔らかそうな頬に埋もれるようにあるおちょぼ口。白と金色の小花を散りばめた赤い着物を着ている。 すると、今まで前を向いていた人形の顔が僕の方を向き (よろしくな) と、どすの利いた声で挨拶をした。 見た目が可愛らしい女の子の日本人形なのに、四十歳ぐらいのしわがれた声で言われたので飛び上がるほど驚いた。 (よ…よろしくお願いします・・・) 僕は、二人で騒がしく話をしている日引とみぃ。そして天気の良さそうな庭の方を見て思った。 (昔の忌まわしい過去と共になくなった家・・これから新しい家としての僕の始まりなんだ)
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