名付け親

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(は?) (は?じゃないきね。こっちよこっち) 僕は急いで声の主を探す。内心焦っていた。だって僕の事は誰にも分からないはずだから。 (どこ見てるきね。下よ。下) 言われた方向に目線を移す。 玄関からリビングに続く廊下に、あの猫が前足をきちんとそろえて座り僕を見ている。この猫が僕に話しかけてきたのか?僕はじっと見る。 (ふん。あんまりじっと見るなら金を取るきね) 金・・・猫に小判・・・・ 咄嗟にそんな事を考えた。猫は前足をペロペロと舐めながら (あんたは何者きね。私は猫) いや・・・見ればわかる。 (名前はみぃ。あの子がつけてくれたきね) あの子・・・あの女の子か。 (あんた。名前は?これから一緒に暮らすんだから自己紹介はしなくちゃね) (あ・・・僕は・・・名前はない・・・) (は?名前がないですって?・・・まあいいきね。誰かに付けてもらわなくちゃ名前は生まれないきね) 猫・・・いや、みぃは少し考えこむようにすると
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