千代紙の箱

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持ってみたらなんの箱かわかって、妻らしいと笑みが浮かんだ これは毎年伯父さんから届くお歳暮のハムの空き箱に妻が千代紙を貼った物だろう。手前の箱を退かすと、奥に同じ箱が並べてある サイズが同じで重ねても収まりがいいから、千代紙を貼って小物入れにしたのはすぐにわかった 妻はこういう細かい仕事が好きだ きちんと並んだ千代紙の箱は妻の性格そのものを表している 箱を棚に戻そうと屈むと、ちらっと千代紙の色が目に付いた 手に取った箱を元の場所に戻してから、棚の一番下の段の手前に置いてあった額縁か何かの薄い箱をどかしてみると 奥に隙間なく、千代紙の箱が詰めてあった
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