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何から書こうか。
そうだな。
思い出すのは、彼女が妊娠してからのことだ。
そのころ彼女はとても不安定だった。
当然といえば当然だったかもしれない。
しかし、私には身に覚えのないことで、激しく戸惑っていた。
身に覚えがない、というのはすなわち私と彼女の間にはそういった関係がなかった、ということだ。
彼女の腹にいるのが何かは知らない。
人間なのかすら。
それでも腹は日々月々でかくなっていく。
彼女はそのたびに我儘を言った。
曰く
ヨーグルトが食べたい
曰く
冷たいものが食べたい
曰く脂っこいものが食べたい
曰く
曰く
曰く
思いつく限りのことはやってやった。
しかし腹の子は明らかに私の子供ではない。
では誰の子なのか。
問い詰めるのは得策か。
日々自答する。
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