親が親だから…

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親が親だから…

「あ~ん…」 「じ、自分で食べられます…」 私がそう言うと 「え?父上たちは母上にいつも食べさせてる。断られてもめげずにやることが、恋愛成就の道だと言ってた。だから、あ~ん」 …あの夫様方ならば、なるほど。と頷けます。 が。 恥ずかしいです。 私は "生きていくために錬金術を学びに" メーメルンまで来たの。 結婚相手は探してなかったのに…。 「あの…アシュレイ様はおいくつですか?私は15歳で、結婚はまだ先のお話ですし…」 たぶん20歳くらいよね? 結婚は急務なんでしょう、メーメルン公子であるなら。 そう思っていると… 「………同い年だよ。あの!破天荒な母上と父上たちの子供というド不幸によって、老け顔になったんだ…。ある日の行動教えようか?朝六時。いきなり叩き起こされる。理由は"構ってくれなかったから、つまらない。だから剣術の相手しろ!"で、ボコボコにされる。傷を直して風呂に入って母上に『父上の相手をしてくれ!』って言ったら、『アホか!体力の有り余るアイツらの相手を毎日できるか!アンタがやれ!』と言われて、もう一人の父上に差し出された。で、今度は『魔法の試し打ちするから、ちゃんと逃げろよ?』って…!死ぬ気で逃げたよ。あの人たち、我が親ながら"手加減"って言葉、彼らの辞書には載ってない、鬼!だから。年取らないしケガしないし熱一つ出さない、頑丈さ!周りからは"バケモノ"、熱狂的な美の信者からは"女神様"、"美神様方"と言われてる。でも許せないのは…知らない人から『弟さんたちと妹さん、兄弟みんな美人ですね!』兄弟じゃねえよ!しかも一番年上じゃ、なぁいっ!!!」 ………兄弟。 まぁ、お顔は当然似てるから…。 「というわけで…普通の口調でお願い。で、仲良くなるために、あ~ん」 夫様方の血と教育を受け継いだ公子に "諦める" という選択はなさそう。 魔法で逃げる。というのは私には当然無理で、錬金術もこれから。 『根性なし!』 のレッテルを貼られていたけど、スプーンを持ったままにっこり笑い、微動だにしないところから "女公爵と夫様方から見て" 根性なしなんだと思う。 おそらく、他所から見たら立派に "ド根性者" よ。 「俺は諦めないからね?口を開けてね?あ~ん!」 ………私には彼を止められる根性はないわ。 仕方なく口を開けた…。 「…なんか父上たちの気持ちが解ったかも…。雛に餌付けしてるようで楽しい…!」 私はとっても恥ずかしい!!! でもその後から、私の前に食事が置かれることはなくなりました。 パンからスープに至るまで、ウキウキとしたアシュレイ様が下さります。 慣れると楽だけども。 堕落した人の発想かしら…?
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