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ちょっと楽しい
「え?夜会に出席、ですか?」
女公爵に呼び出されて魔石に魔法を注入する訓練を切り上げて執務室に行くと、マルアール王宮の春一番の夜会に招待されました。
「うん。レイが"メイも一緒に!"って煩いんだわ。で、一応ギトスの大公に『フィーナ·メイ公女を夜会にご招待してもよろしいですか?』って聞いたら良いって。…メイには悪いけど、ギトスってメンドクサイねぇ」
女公爵のお顔を見て、お父様が何を言ったのか解りました。
たぶん
"魔法も使えないような娘、夜会なぞに招待する価値もあるまい"
とか、そういうの。
「いやぁ、ムカついたから『小さな領地メーメルンの女公爵があなたの末公女、お誘いして済みません。ギトス大公家には二度と声をかけないことにします』と言ってやったら、慌てて『よろしくお願いします!』ってさ」
…ははは。
小さな領地だけども、今世界中で注目され活気があり需要されてるのが
"メーメルン"
錬金術士たちの憧れの場所で、研鑽を積んで教師として移住したいと頑張る錬金術士は多数。
素晴らしい便利道具を量産しているこの地の女主人に睨まれたら便利道具はまず手に入らない。
お父様とすればメーメルンとの繋がりは
"出来損ない"
の私より姉の方が良いのでは?と思っていて不思議はない。
私自身もそう思うのだけど、魔法が使えなくとも全く気にする素振りがないのは不思議な気がします…。
「お?!来た来た。レイと旦那たちとカーがドレスや靴、小物を山ほど持ってきたよ!夜会のドレス、どれにする?う~ん…髪色が栗茶だから金かクリーム色…。でも瞳の色が鮮やかなコバルトブルーだから深い蒼も良いかも…。そうだ!レイに合わせて黒なんかどう?!…女の子のモノって選ぶの楽しいよね~🎵あ!ドレスの型は何がいい?」
そうペラペラ話ながら女公爵が執務室のドアを開けて、私を手招きしました。
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