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…目がチカチカします。
色の洪水って、こういうものなのね…。
与えられたモノしか身に付けられなかった私には驚きです。
客間がドレスや小物のキラキラで溢れてる…!
「…そうだね。背が高いからなんでも合いそうだけど…。金色がいいかな」
「…お?マーメイドドレス?っていうんだっけ?似合うんじゃね?」
「瑠璃色も合うよ!目の色にピッタリ!」
女公爵と夫様方がやいのやいの仰って、ドレスを次々当ててきます。
「母上父上、邪魔です」
…アシュレイ様の目が据わってます。
シッシッと手を振られて女公爵と夫様方が、ギョッとした顔で私から離れて一塊になりました。
「メイにはこのドレスがいいと思って持ってきたんだ」
アシュレイ様は機嫌良くなり、淡い金のシフォンドレスを私に渡してきました。
…あら、可愛い…。
「あら!レイがかっこ良くなった!凄いわ!!!ドレスのセンスも良いわ!」
と女公爵が絶賛すると…なんか部屋の温度が一気に下がった気がします。
…あれ?
アシュレイ様、汗出てる…。
暑いのかしら?
「…おい、息子。ちょっと話がある。顔貸せ?」
「いつの間に僕たちを抜かしかけてるの?オハナシ必要だね」
夫様方の背後に真っ黒い悪魔が揺らめいてるのは、気のせいだと思いたいです!
「…え?私のドレスは選んでくれないの?しょうがない。何着ようかな…」
「あ?レイに話は後でいい!そうだな…今回は俺の番だっけ?」
「そうだけど…レイと話したいなら、スキップして僕でもいいよ?」
女公爵はギャーギャー言い合いしてる夫様方に苦笑してから、こちらをチラリと見ました。
すると隣にいたアシュレイ様が、ふぅ~っと息を吐きました。
「…ヤバかった…。久し振りに父上たちから超怖い"教育的指導"を受けることになるとこだった…!」
どういう意味でしょうか?
「父上たちは、ものっすっごいヤキモチ焼きなんだ。自分たち以外に性別"男"は全て敵。…小さい頃抱っこをねだった俺は、剣を持って追いかけられたなぁ…。"命懸けのかくれんぼ"は、もうしたくない。あの二人、母上がいないと豹変するから…」
魔王をボコボコにした剣と魔法の達人たちに追い回されて逃げ回る幼児…ですか。
………アシュレイ様も結構、頑丈ですね。
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