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「"欠陥品"?姉が妹に言う言葉かよ?ってか。その言葉、メーメルン公爵領に対する宣戦布告か?この領地は"魔力貯蓄症"がたぁくさんいるんだ。領民に対する侮辱は許せないが?」
あぁそうなのね。
女公爵にしてみたら、やたら魔法の力を翳すのは許せないんだ。
でも姉様は魔法神ヴァルファル様の加護を貰ってる珍しい人だから…と思ったら
「母上と父上たちと敵対するのは止めておいた方がいいよ!この人たち、昔北の大国イージュを落として、国王陛下を下僕にした人たちだから!いまだに頭が上がらないらしいし。ちなみに三人とも創世神レシオール様の加護持ってるし、俺も愛と美の女神シェファ様に"優美"と"愛され上手"なんていう珍しい加護を貰ってる。公女だけじゃないんだよ、加護持ちは」
…驚きました。
確かにこの世界は全員"加護"がありますが、大抵は
大地の女神ハーラ様の"祝福"
天空の神ノーズ様の"祝福"
です。
この世界において"祝福"は普通のもので、取り立てて報告するべきものではありません。
貴族は二つ三つ、他の加護を頂いてるのが普通です。
特に
創世神レシオール様
魔法神ヴァルファル様
愛と美の女神シェファ様
の加護持ちは稀で、この場所に私以外の五人がいるなど驚きです!
「ならばわたくしとアシュレイ公子様はお似合いではございませんか!メイの内匠の神カナール様の加護は良いとは思いますが、わたくしは魔法神ヴァルファル様の加護ですわ!」
と意気揚々と姉様が声を上げましたが…しら~っとした空気が室内に流れました。
「…俺、加護で人を選ばないよ?それにメイ、可愛いし!メイ以外はパンプーにしか見えないから!!!」
「…パンプー…」
姉様が愕然となりました。
「あはははは~!パンプーって、かぼちゃかよ~!!!」
「パンプー…ボコボコだな!っははは!」
「かぼ、かぼちゃ…!レイ、年中ハロウィンだね!楽しそ~!」
"かぼちゃ"はおそらくパンプーのこと。
でも"ハロウィン"とはなんでしょうか?
涙を流して笑い転げる女公爵と夫様方に聞けず、姉様を見たら…あ、怒ってる。
「失礼ですわ!わたくし、ギトスの公女ですのよ?!」
姉様の言葉に
「知ってるよ。連絡もなく予告もなく、いきなり他所の国の領地に乗り込んでくる礼儀知らずのギトスの公女様」
「当然知ってるぜ?商船や王家専用のメーメルン港に軍艦を入れた常識なしのギトスの公女」
「情報は入ってますよ?ギトスの公女。ワガママ放題で妹公女フィーナ·メイをバカにして嫌がらせして、結婚話もご破算にしたんだって?ま、そのお陰でウチのボケ息子がメイに言い寄ることができたんで、お礼は言っとくけど。…レイの邪魔をするなら容赦はしないけどね」
こ、怖いですっ!
止めはアシュレイ様でした。
「顔は似てても性格が嫌だ。しかも母上父上に扱き下ろされる公女なんて、母上父上に"俺が!"しばかれるじゃないか。母上に気に入られなかったら、"俺が!"メーメルンから叩き出されてしまう…!エリア·ラナ公女。全力でお断りさせていただきます!!!」
「「「よく言った!偉いぞ、誉めてやる!!!」」」
…姉様は呆然とメーメルン女公爵一家を見ておりました…。
こんなぞんざいな扱い、初めてでビックリです。
姉様は完全にショックを受けておりました…。
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