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一目惚れって、ありますか?
「メイ。一人でウロウロしたら危ないぞ?」
声をかけられビックリする。
居所がバレるの早い…。
そんなに心配しなくてもメーメルン公爵領では、ほぼ犯罪なんて起きないでしょ?
猫型犬型鳥型の錬成物がウジャウジャいて、通りはビックリするくらい明るい。
街灯にはロープが巻かれていて、異変が起こればスルスルと滑り降り勝手に縛り上げる。
女公爵の夫様方がよく巡回してて、メーメルンはマルアール、いや世界一安全安心な街として有名。
ただし住むことは難しい。
小さな領土なので
"元々住んでいた人"
"錬金術を学びたい人"
"住民と結婚する人"
しか居られない。
私は海の遥か向こう、ギトス公国の三番目の公女でありながら
"魔力貯蓄症候群"
で、政治の駒にはなれなかった。(レレラルでは魔法第一主義。ギトス公国ではその考えが群を抜いていた)
なので比較的穏やかで、錬金術の達人と呼ばれる女公爵と夫様方がいるメーメルン公爵領にきた。
錬金術を学ぶために。
一人で生き抜くために…。
…挨拶した女公爵に驚いた。
私と同じ(15歳)か、下手すると年下に見えるんだけど…30半ばだって。
夫様方もやっぱりお若い。
「いや~。昔作った美容関係の飲み物がいまだに影響してて、年取んないんだわ。おまけに異様に頑丈で、病気一つケガ一つ、しやしねぇ。錬金術であなたも究極のモノ、作らないように気をつけてね!」
「…ん~。ギトスの公女か…。魔力貯蓄症だと、何かあったらマズイな。何か付けとくか…」
と夫様のお一人が。
「ん?ちょうどいいから"レイ"に任せよう。あの子、親としては心配なほど女っ気が全くないからね」
ともう一人が。
すると女公爵と最初の方が、ポンっと手を打った。
「「お、それいいじゃん!」」
チリリン、チリリン!
女公爵が机の上の鈴を振ると、邸全体に響き渡った。
「レイ~!ちょっと執務室に来~い!」
普通の声なのにダダダダダっと足音がして、人が飛び込んできた。
「なんですか、母上!今俺は、剣術の稽古中なんですよ?!」
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