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ゆかりんへ
平成26年 9月12日 20歳
早かったね。
あなたが、一番びっくりしてたんじゃないの?
朝、あなたを見つけたときは、何してるんだろうと思ったわよ。
そしたら、もう、あなたの身体の中には、あなたが、いなかったじゃない。
さっきまで、話してたのに。痛いも何も言ってなかったじゃない。
朝、最後の晩餐の梨が、何切れか残ってたね。美味しかったかな?
病気だなんて、なんで気が付かなかったんだろう。
サイン送ってくれてたのにね。しんどかったのは知ってた。仕事変わったばかりだし、大したことないって思ってしまって。
もっと話をすれば良かったね。ちょっと距離もう遅いけど。
夢にも出てきてくれないじゃない?
やっぱり、怒ってる?
あれから、無性に会いたくなる時があるのよ。
声が聴きたい。ゆかりんに触れたい。
時間が経てば、心の中にいる、なんて言う人もいるけど、この宇宙の果てまで探しても、あなたは、どこにも、いないでしょ。
朝が来るたび、なんで夢じゃないんだって悲しくて悲しくて。
ゆかりんの骨まで、拾った記憶があるのに。まだ、どこかにいるよな気がしてる。いつも、どこに行ったんだろうって。
どこにもいないって分かってるのにね。
ゆかりんの小さい頃の写真ばかり見ては泣いてるよ。いっしょに聞いた音楽、好きな、ブドウや、お菓子を見ると思い出す。日常がすべて想い出だし。
車の中で、ずっと聴いてた曲、未だに聴けない。
ゆかりんがこの世にいない世界にはまだまだ慣れない、泣き虫お母さんです。
まだ、歯ブラシや、ヘアゴム、財布そのまんま、とってある。捨てれるわけないよ。時々、ヘアゴム借りてるよ。いいよね。
お母さんも、いつか、ゆかりんのところ行くからね。じいちゃんと仲良くやっててね。ほんとは、すぐにでも行きたいけど。なかなかそうはいかないから。
生まれ変わって誰かの、子供になってるのかな。
お母さんが行っていなかったら寂しいな。おばあちゃんになって行くから、間違えないでね。
待っててね。ゆかりん。
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